会社でずっと喫煙部屋にいて仕事していない先輩がいるんだよね
その先輩はなんで解雇されないの?
喫煙部屋で仕事の話をしていることもあるからのぉ
最近はタバコを吸わない人が多くなってきましたが、タバコを吸う人の言い分もあっていろいろと難しい問題へと発展するケースもあります。
社内の受動喫煙対策は、いかがでしょうか?ビルが完全禁煙のところもありますし、社内分煙措置を実施しているところもあるかと思います。今回は、社内での受動喫煙対策にまつわるお話を紹介したいと思います。
タバコに関しては喫煙者と非喫煙者との間で、休憩時間に関しての攻防がしばしば起こり得ます。とある出版社では自社ビルの外に喫煙エリアを設けていました。しかし、喫煙者から「外までタバコを吸いに行くのは面倒だし、効率が悪い」との不満が出ていました。業界の特徴でもありますが喫煙者率が高いため、その声を無視するわけにはいきません。そこで、社長は思い切って各フロアにスモーキングルームを設置することとしました。また、閉鎖的な雰囲気をなくすためガラス張りにして、明るい環境を作りました。
スモーキングルームの設置で一件落着かと思われましたが、タバコを吸わない社員から苦情が出てしまいました。実はオープンさを表すために中を見やすくしたことで、「○○さんは、いつもスモーキングルームにいる」と、非難されやすい環境を作ってしまっていたのでした。
・「よく離席する人がいるけれど、何やっているのか分からない」
・「タバコのための休憩時間が長すぎる」
・「自分たちは、席で考え事をしていてもサボっていると言われたりするのに、どうして喫煙中はサボりではないの?」
・「タバコを吸う人と吸わない人では、一日の勤務時間に不公平がある」
・「出て行ったきりなかなか帰ってこない」
・「連絡をとりたいときや質問したいときにいつもいない」
この苦情を受け、社長が喫煙時間や喫煙本数を減らせないかと、喫煙者にヒアリング調査を行ったところ、到底承知できないという返答が多数ありました。
・「タバコをやめたらかえってストレスで体調悪くなってしまう」
・「タバコを吸えないとイライラで仕事に集中できない」
・「喫煙タイムは、他部署の社員とのコミュニケーションの場である」
・「サボっている訳ではなく、情報交換して仕事に活かしている」
・「“喫煙”という場だから話せることもある」
・「喫煙タイムは、休憩時間ではなくて、仕事の一環だ」
タバコを吸う人と吸わない人との間の溝が深まり、社内は険悪な雰囲気となってしまったため、社長は社内環境の改善アンケートを実施することとしました。社内環境が悪い原因としてコミュニケーション不足が一番に挙げられました。また、タバコを吸わない人にとって自分たちの一息つける空間がないこと、気軽に会話ができるエリアがないこと等の不満が明らかになりました。そこで、主にコミュニケーションの場を提供することや、口の寂しさを紛らわすことを目的として、社員の誰でも利用できる禁煙の談話コーナーを設置しました。
<談話コーナーの設置>
・雑談のためのエリア(禁煙)を社内に設置する
・フリードリンクの提供(コーヒー、お茶、水のサーバーを設置)
・キャンディーやクッキーなど軽易なお菓子を用意(持ち寄りも)
美味しい飲み物や食べ物については誰でも興味があるため、会話のきっかけとなり、コミュニケーションが促進されました。
また、美味しい飲み物や食べ物は誰にでも共通なので、タバコを吸わない社員だけでなく、タバコを吸う社員も利用することから、コミュニケーションの幅が拡がりました。同じ部署の基幹社員とサポート社員の連携がスムーズになり、また他部署間においても情報交換が進み、業務効率化につながりました。さらに、普段は顔を合わすことが少ない他階の社員とも会話をする機会が増え、社内の風通しが大変良くなり、社内が活性化されました。これまで、スモーキングルームが唯一のコミュニケーションの場であると思っていた喫煙者も談話コーナーを利用するようになり、結果的にタバコを吸う時間や機会が減ったようにも感じます。
仕事中の喫煙の時間については、休憩なのか否かについては、法的に定めはありません。業務効率を目的にすれば、喫煙者・非喫煙者のどちらの言い分にも正当性があります。企業としては、トップダウンでルールを決めるだけではなく、ボトムアップを意識してうまく誘導していけるとよいでしょう。