この前、近所の亀じいさんが亡くなったんだけど、104歳だったんだって
鶴は千年、亀は万年、生きるのかと思っていたよ
お前さんらの年代は「半分以上は107歳まで生きる」って言われているんぢゃ!
人生100年時代。”何歳まで生きるか”ということも大切ですが、”どう生きるか”の方がもっと大切な気がします
2023年2月13日、日本の伝説的な漫画家、松本零士さんがこの世を去りました。享年85歳でした。「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」など数多くのヒット作品を世に送り出した偉大な漫画家でした。私事で恐縮すが、今は亡き父親から「このアニメ面白い」と誘われ、一緒に「銀河鉄道999」のTVを見たり、映画に連れていってもらったりしたことを今でもよく覚えています。
ご存知の方も多いと思いますが簡単に物語の内容をお伝えします。星野哲郎という少年が、メーテルという女性と機械の身体(永遠の命を手にすることができる)をタダで貰えるという星に”銀河鉄道999”に乗って旅をします。
最初は永遠の命を手にするために意気揚々と向かうのですが、その旅の途中でいろいろな星で出会った人達から「永遠の命を手にすることより、限られた命を精一杯生きることの方が大切だ」という事を学んでいきます。
いろんな困難に立ち向かいながらも、999の最終目的地の機械の身体を手にできるという星にたどり着きます。しかし、哲郎は唖然とします。なんと、その星の名前は”メーテル”という星だったからです。
メーテルはその星の女王の一人娘で、いろいろな星にいって、ネジになる人間を連れてきていたのでした。その事実を知った哲郎は騙されたと思い、メーテルのことを恨みます。
しかし、実はメーテル自身も、こんな事はいつかやめたいと思っていたのでした。一緒にこの機械の星を破壊してくれる人を探していたのです。そして連れて来られたのが哲郎だったのです。そのことを知った哲郎はメーテルと一緒に機械の星を破壊し、地球へと帰っていきます。
その後、地球へと戻った哲郎は、限られた命を精一杯生きていく決心をします。メーテル自身も機械人間でしたが、その身体を手放し、元の人間の身体に戻る決心をし、限りない命を大切に生きていく。という物語です。
この物語をみて、限りある命を精一杯生きていくことが大切だということは勿論分かるのですが、それ以上に作者は現代社会の事を物語っているのではないかと感じました。
少しでも良い学校に入って、少しでも有名な大企業に就職する。そうすれば安泰だと思われている。ても、本当に幸せに暮らしていける人はごく一部で、多くの人はその大企業のネジとなって働くことになってしまう。
少し前に”社畜”という言葉が流行りましたが、そのような社会を物語っているのではないかと感じました。
やり甲斐や生き甲斐をもって生きていく大切さ。「安定も大切だが、もっと大切なことがあるのではなか?」そう言っている気がしました。みなさんは、どのように感じましたでしょうか。
今回は「人生100年時代」というテーマを取り上げてみたいと思います。
平均寿命が伸びていることをよく耳にするのではないでしょうか。
上記は厚生労働省が発表している平均寿命の推移です。この表を見て「自分も90歳位までは生きるだろうなぁ」と思っていました。
しかし、アンドリューJ.スコット教授著書の「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」によると、僕達の年代(1967年生まれ)の人達は更に平均寿命が伸び、約半数は95歳から98歳にまで生きるのだそうです。つまり、65歳で定年を迎えたとしても、同級生の約半分は残り30年以上生きるいうことなのです。医学が発達したお陰とはいえ、「そんなに長生きできてうれしいなぁ」という気持ちより、「健康で経済的に困窮することなく生きていけるのかな。」という不安の方が大きく感じました。
更には、アメリカのカリフォルニア大学とドイツのマックス・プランク研究所が調査した結果では、日本で平成19年(2007年)に生まれた子どもの半数は107歳まで生きると推測しています。
社会人になった23歳から65歳までの人生と同じ長さだけ、65歳からの人生が待っているという計算です。定年が伸びて70歳までになったとしても、残りの人生が37年以上あります。「やったー!」と喜べる人はどの位いらっしゃるのでしょうか。
かつては、人生を「学ぶ」「働く」「引退する」というステージで考えられていました。
生まれて7歳~22歳までの15年間が「学ぶ」時代、その後の23歳~60歳までの37年間が「働く」時代。そして最後の10年弱が「引退」の時代です。圧倒的に「働く」時代が長かったのです。
参考までに現在の年金制度が施行されたのは1961年でした。
左下図がその頃(1961年)の人口構成図と平均寿命、右下図が2019年の人口構成図と平均寿命です。
つまり、年金制度ができた頃は、引退(定年退職)後、10年位、年金を受け取る計算でその制度を支える若者たちも多くいたということが一目瞭然だと思います。
余談になりますが、僕がかつて海外赴任していたフィリピンの人口構成図は下記のようになっています。60歳を超えると映画もレストランも半額になります。スーパーで買い物をしてレジに行列ができていたとしても、60歳以上の人には専用レーンがあり並ばずに会計することができていました。お年寄りが尊敬され、車椅子に乗った老人に対し、若者が2~3人でお世話をする光景があちこちで見ることができていました。日本のスーパーで60歳以上の専用レーンを設けたとすると、逆にそっちの方が行列ができてしまうのでは?と思っていました。
2019年、金融庁がまとめた「金融審議会 市場ワーキンググループ報告書」により、「老後、約2000万円足りなくなる!」と、とても大きなニュースになり世間を駆け巡りました。計算の根拠は下記の図からきています。
つまり、65歳男性と60歳女性夫婦の平均的な実収入(209,198円)ー平均的な実支出(263,718円)を差し引くと▲54,520円となり、上記で説明したように95歳まで生きたと仮定すると、
▲54,520円×12ヶ月×(95歳-65歳)=19,627,200円で「約2000万円不足する!」という計算が成り立つのです。
ただ、更にこの報告書を読み進めてみると、
「わが国の高齢者は総じて元気である。これは、他国に比して、また過去と比較しても当てはまる。2016年においては、65 歳から 69 歳の男性の 55%、女性の 34%が働いており、これらの比率は世界でも格段に高い水準となっている。
体力レベルを見ても、現在の高齢者は過去のわが国の高齢者と比較して高い水準にある。また、アンケート結果では、60 歳以上で仕事をしている者の半数以上が 70 歳以降も働きたいと回答している。」
とあります。つまりは、体力的にも精神的にも若くなっているというこのなのです。
因みにサザエさんに出てくる浪平は何歳だと思いますか?なんと、衝撃の54歳です。サザエさん世に出た1969年の頃の54歳と今の54歳は年齢は同じでも中身は全く違うのです。
更には、報告書によると
「思考レベルも高い。現在、60 歳から 69 歳でインターネットを使っている人は全体の4分の3にのぼるほか、OECD の調査によれば、60 歳から 65歳の日本人の数的思考力や読解力のテストのスコアは OECD 諸国の 45 歳から 49 歳の平均値と同じ水準となっている。」
となっており、65歳の定年を迎え、家でテレビを見て図書館で新聞を読み、犬の散歩をして夕ご飯を食べたら寝る。という老後生活を送っている高齢者たちは、もはや今となってはいないのではないでしょうか。
何か自分の好きな事をして1日3,000円稼ぐことができれば、3,000円×20日=60,000円となり、老後2000万円問題はどこかに消えてなくなってしまいます。
大切なことは、生活の為に我慢してお金を稼いでいる老後の生活を想像するのではなく、自分の好きな事をして3,000円/日の対価を得られるものを早めに見つけることなのではないかと思います。
副業が認められているのであれば、楽しんでできる仕事は何か、自分探しをしてみてはいかがでしょうか。